プライマリ・ケアの現場で思春期の不登校にどう関わるか?その1

前回の都市部のプライマリ・ケアのブログから、私自身の課題の1つとして不調を訴える思春期について考えたいと思っていました。

この世代は基本的に身体的に健康であることが多く、当院での受診理由の多くは、①DTワクチンやHPVワクチンの接種、②鼻炎などのアレルギー、③咳、熱といったかぜ症状(2020年以降は新型コロナウイルス感染症の話題もありこれも悩ましいのではありますが…)、④にきび、いぼ、湿疹などの皮膚トラブル、です。

これらであれば普段の診察で特段困ることはありませんが、新型コロナウイルスによる2020年5月の非常事態宣言以降、思春期の若者の不登校に関わることがしばしばあります。

今回は10代の思春期世代の不登校にしぼって、プライマリ・ケアの現場で思春期にどう関わるか?について考えたいと思います。

家庭医として思春期の不登校にどう関わるか?

不登校の診察の過程で鉄欠乏性貧血などの身体的な疾患が見つかり、それを治療するということで(その治療だけが良かったのではなく、時間をともにする継続的な関係自体に治療の意味があるような例もあります)わずかにでも改善があり、また元の状態に戻っていくということも経験します。問題は明らかな身体疾患が見当たらないときです。

思春期は身体的には比較的健康な時期ですが、精神疾患が思春期に発症することが多かったり、この時期の死因の上位が自殺や不慮の事故であったりと心理社会的には注意を要する時期です。

都市部であっても、成人を中心に診察している精神科は思春期であることで受診できず、かといって児童精神科医へのアクセスが良いわけでもありません。家庭医として児童精神科などへ紹介するべきものは何か、紹介日に至るまでやその後も何ができるのかが自分の知りたいことです。

仮説として、

  1. 思春期の不登校によくある状況を知る(Common)
  2. 児童精神科などにつなげれば治療可能なものを知る(Curable)
  3. 事態が急を要するものを知る(Critical)
  4. 自分が診察に関わるとなった時に、現在の状況を評価できる手段を知る(Assessment)

の3C+Aを知ることができれば、自分の診療が少しまともになるのではと考えました。

実際のケースとは異なりますが、以下の不登校のケースで考えてみたいと思います。

中学生2年生女児。学習上の問題はなく、いじめなどの問題もない。2週間ほど前から学校に行けなくなっているとのことで相談のため、母と本人で受診した。母に診察室からでてもらい本人だけで話をしたところ友達関係が引き金になっていると思うとのことであった。友達とは仲良くしているが、気をつかってつかれてしまう、気軽に話ができないため自分の居場所がないような気がするとのことであった。

ではちょっと今回は長くなりそうなのでひとまずここまででアップしてみます。次のその2では思春期の不登校によくある状況(Common)について考えてみたいと思います。

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